座面が深すぎて背もたれに届かない|17機種の奥行と調整幅を調べた
オフィスチェア17機種の「座面奥行と調整幅」くらべ
- 17機種19通りの公表値は40.0〜54.5cm。一番浅くできるのはオカムラ コンテッサセコンダの40.0cmで、これは座面高の差より大きな開きだった
- 決め手は数字の大小ではなく縮められるかどうか。オカムラとコクヨは5cm幅のスライドを備え、一番浅くすると40.0〜41.0cmに収まる
- 「奥行調節あり」と書きながら実寸を公表していない機種が6つ。買う前に何cmまで縮むのかを読者が確かめられない
背もたれまで腰を引くと、膝の裏が座面の前の端に乗る。痛いので前にずれる。すると背もたれに背中が届かず、腰当ても効かない。小柄な人がオフィスチェアで詰まる、3つめの場所です。
座面高の話は前の記事で扱いました。今回は前後方向、つまり座面の奥行です。オフィスチェア17機種のメーカー公式ページを1つずつ開いて、座面奥行の数値と、奥行を前後に動かせるか(スライド座面)を書き写しました。
先に分かったことを言います。公表値は40.0cmから54.5cmまで、14.5cmも開いていました。座面高の差(前の記事では37.5〜47.5cm)より大きな開きです。それなのに、通販ページで奥行の数字を探しに行く人はほとんどいません。
しゃん「高さは気にしていたのに、奥行の欄は見たことがありませんでした」
先に結論——見るのは数字の大小ではなく、縮むかどうか
- 一番浅くできるのは、オカムラ コンテッサセコンダの40.0cm。次がコクヨ デュオラ2の40.5cm、ハーマンミラー アーロンのAサイズの40.6cm
- オカムラとコクヨの上位機は、座面が前後に5.0cm動きます。一番浅くすると40.0〜41.0cmに収まり、深いままの機種との差がここで逆転します
- 深いほうの端は、ハーマンミラー アーロンのCサイズとIKEA マルクスの47.0cm。コクヨ ingの45.5cmも含め、この3つは公式ページに奥行調節の記載がありません
- 「奥行調節あり」と書きながら実寸を公表していない機種が6つありました。ここが今回いちばん困った点です
自分の「限界の奥行」を先に測る
座面の奥行が自分の何を超えると当たるのか。基準になる体の寸法には名前があります。座位殿・膝窩距離といって、深く腰かけたときのお尻の一番後ろから、膝の裏(膝窩)までの水平の長さです。
産業技術総合研究所(産総研)が公開しているAIST人体寸法データベース1991-92に、この項目(J6)の統計が載っています。青年層(18〜29歳)の値を、小さいほうから抜き出すとこうなります。
| 座位殿・膝窩距離(青年層) | 女性(202名) | 男性(216名) |
|---|---|---|
| 最小値 | 38.3cm | 40.3cm |
| 下から2.5% | 39.9cm | 42.1cm |
| 下から5% | 40.6cm | 42.9cm |
| 下から25% | 42.4cm | 45.1cm |
| 中央値 | 43.9cm | 46.6cm |
| 平均値 | 43.9cm | 46.5cm |
座面の奥行がこの長さを超えると、腰を背もたれまで引いたときに座面の前の端が膝の裏まで届く計算になります。女性の中央値は43.9cm。あとで出てくる表と見比べると、固定の座面で45.5cm・46.0cm・47.0cmという機種が、この数字を1.6〜3.1cm上回っていることが分かります。
自分の数字は、椅子に深く座って、お尻の後ろから膝の裏までをメジャーで測れば出ます。座面高を測るときの膝下(かかとから膝裏まで)とは別の寸法なので、両方測っておくと選ぶ材料が揃います。
17機種19通りを、浅い順に並べる
2026年8月5日にメーカー公式ページで確認した値です。奥行が動く機種は「一番浅くしたとき」で並べました。
| 機種 | 座面奥行(公式) | 奥行の調節 | 一番浅く |
|---|---|---|---|
| コンテッサセコンダ CC87BS(オカムラ) | 40.0〜45.0cm | あり(5.0cm幅) | 40.0cm |
| デュオラ2 C08-P230(コクヨ) | 40.5〜45.5cm | あり(ストローク50mm) | 40.5cm |
| アーロン リマスタード Aサイズ(ハーマンミラー) | 40.6cm | 記載なし | 40.6cm |
| シルフィー C681XR(オカムラ) | 41.0〜46.0cm | あり(5.0cm幅) | 41.0cm |
| ミトラ2(コクヨ) | 41.0〜46.0cm | あり(ストローク50mm) | 41.0cm |
| CG-M CG91ZR(オカムラ) | 42.8cm | 「なし」と明記 | 42.8cm |
| アーロン リマスタード Bサイズ(ハーマンミラー) | 43.2cm | 記載なし | 43.2cm |
| サリダ YL2-SP(イトーキ) | 43.5cm | 記載なし | 43.5cm |
| ing CR-G3211(コクヨ) | 45.5cm | 記載なし | 45.5cm |
| イェルヴフェレット(IKEA) | 46.0cm | 「調節可能」とあるが幅は非公表 | 不明 |
| アーロン リマスタード Cサイズ(ハーマンミラー) | 47.0cm | 記載なし | 47.0cm |
| マルクス(IKEA) | 47.0cm | 記載なし | 47.0cm |
| COFO Chair Premium 2 | 48.5〜54.5cm | あり(6.0cm幅) | 48.5cm |
上の3つは近い数字ですが、中身が違います。コンテッサセコンダとデュオラ2は45cm前後まで深くもできる椅子で、アーロンAの公表値は40.6cmの1つだけ(奥行調節の記載はありません)。体が大きくなる家族と共用するなら前の2つ、自分専用なら後ろでも困りません。
逆に、COFO Chair Premium 2は一番浅くしても48.5cm。6.0cmという今回いちばん大きな調整幅を持っていますが、出発点が深いので、浅い側では他の機種に届きませんでした。調整幅の大きさと、浅くできるかどうかは別の話です。
同じ「奥行調節あり」でも、40.0cmまで縮む椅子と48.5cmで止まる椅子がある。ここが、機能の有無だけを見ていると外すところです。
「奥行調節あり」でも、数字が無い6機種
残りの6機種は、奥行を動かせることは書いてあるのに、何cmから何cmまでなのかが公式ページにありませんでした。
| 機種 | 公式ページの書き方 | 奥行の実寸 |
|---|---|---|
| バロン(オカムラ) | 「座面奥行調節」前後50mm | 記載なし |
| サリダ YL9(イトーキ) | 座面奥行調整は5段階(50mmスライド) | 記載なし |
| エルゴヒューマン PRO2 High | 仕様表に「座面奥行調節」の丸印 | 記載なし・調整幅も記載なし |
| COFO Chair Lite | 「座面前後調節」 | 記載なし・調整幅も記載なし |
| RESTIVA-02(オフィスコム) | 座面前後4段階調節 | 記載なし・調整幅も記載なし |
| E-WIN CP-BK5B | 座面平面部の幅(41cm)のみ掲載 | 記載なし・奥行調節の記載もなし |
このうちオカムラのバロンとイトーキのサリダYL9は、動く量(50mm)は分かります。それでも出発点が分からないので、自分の43cmや40cmに収まるかどうかは、ページを読んだだけでは決まりません。
エルゴヒューマン PRO2 High、COFO Chair Lite、RESTIVA-02の3つは、動く量すら書いていませんでした。この3機種については、買う前に判断する材料が公式ページから取れなかった、というのが今回の結果です。
なお、こうした調節が何のためにあるのかは、メーカー自身が書いています。オカムラはシルフィーの説明で「座面の高さと奥行き、肘パッドの高さと前後・左右など、体格や好みに合わせて細かく調節できます」、COFOはChair Liteの座面前後調節について「浅くすればランバーサポートの支えが最大に」と説明しています。奥行を浅くすることと、腰当てが効くことは、メーカーの側でもつながった話として扱われています。
「何cmがちょうどいい」の公的な目安は見つからなかった
座面奥行が体のどの寸法に対して何cm短ければいいのか。公的な資料を3つ当たりましたが、目安の数字は見つかりませんでした。
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は、椅子が満たすものとして5つの項目を挙げています。「床からの座面の高さは、作業者の体形に合わせて、適切な状態に調整できること」とは書いてありますが、座面の奥行についての記述はありません。
日本オフィス家具協会(JOIFA)の「椅子の選び方」には「座面の高さの目安は身長×1/4」という計算式が載っています。こちらも奥行の目安はありませんでした。
JIS(日本産業規格)の「オフィス家具―座面高さ調節式回転椅子」(JIS S 1043:2016)は、規格本文が有料(2,860円)で、座面奥行の推奨値があるかどうかまでは一次で確認できませんでした。ここは分からなかったこととして残します。
つまり、「奥行は◯cm以下がよい」と言い切れる公的な根拠は、今回の調べ方では取れていません。この記事で示せるのは、上の体の寸法データと、各機種の公表値を並べたところまでです。
しゃん「引き算の答えは出せませんでした。代わりに、自分の数字より深い椅子はどれかは分かります」
公表値には、そのまま読めない部分がある
もうひとつ、注意点があります。
各社が出している座面奥行は、座面という部品の前後の長さです。実際にお尻が収まる位置は、背もたれや腰当てが前に張り出している分だけ前にずれます。この「実際に座れる奥行」を公表しているメーカーは、今回開いた17機種のどのページにもありませんでした。
そのため、上の表の数字は、機種どうしを比べるための物差しとしては使えますが、自分の座位殿・膝窩距離と直接引き算する数字としては、余裕を見ておくほうが安全です。
測り方の基準も、各社ばらばらでした。コクヨは「幅510×奥行405〜455mm」のように座面の寸法として、イトーキのサリダYL2は「座面奥行:43.5cm」と単独で、IKEAは「シートの奥行き47cm」と書いています。イトーキのサリダYL9のページには「D70.5cm」という数字がありますが、これは椅子全体の奥行で、座面のものではありません。同じ表記に見えても、指しているものが違うことがあります。
この記事が向かない人
座り心地、クッションの硬さ、前の端の丸み(膝裏への当たりの柔らかさ)で椅子を選びたい人には向きません。当たり心地は寸法に出ないので、今回の方法では扱えません。座面の前の端が下に落ちる形(ウォーターフォール形状)かどうかも、公式ページの寸法欄からは読めませんでした。
また、この記事は編集部が実物を測ったものでも、メーカーに問い合わせたものでもありません。公開されているページの記載を読んだだけです。
まとめ
- 17機種19通りの公表値は40.0〜54.5cm。座面高の差より大きく開いている
- 一番浅くできるのはコンテッサセコンダの40.0cm、次がデュオラ2の40.5cm、アーロンAの40.6cm
- オカムラとコクヨの上位機は5.0cm幅で前後に動く。調整幅が一番大きいCOFO Chair Premium 2(6.0cm)は、出発点が深いので浅い側では届かない
- 「奥行調節あり」と書きながら実寸を公表していない機種が6つ。うち3つは動く量も書いていない
- 座面奥行の公的な目安は、厚生労働省のガイドラインにもJOIFAの選び方にも見当たらなかった。JIS本文は有料で確認できていない
- 自分の座位殿・膝窩距離(お尻の後ろから膝裏まで)を一度測れば、表のどこで線を引くかが決まる
→ 座面が低いオフィスチェア3選|身長150cm台向けに現行19種類を調べた
調査・編集:チェア図鑑編集部。しゃんは記事の案内役のキャラクターです(実在の人物ではありません)。
この記事の調べ方と、分からないこと
2026年8月5日に、9ブランド17機種のメーカー公式ページ・公式直販ページを1つずつ開き、座面奥行と奥行調節について書かれている内容をそのまま読みました。開いたのはオカムラ・コクヨ・イトーキ・ハーマンミラー・エルゴヒューマン・COFO・オフィスコム・E-WIN・IKEAです。ハーマンミラーのアーロンはA・B・Cの3サイズを別に数えたため、表の行数は19通りになっています。
単位は、mm表記のページはcmに直して並べました(例:オカムラの「400〜450mm」→40.0〜45.0cm)。それ以外の換算や推計はしていません。
分からなかったことを書いておきます。
1つめ。座面奥行の推奨値を示す公的な資料が見つかりませんでした。厚生労働省の情報機器作業ガイドラインで椅子について挙げられているのは座面高までで、JOIFAの椅子の選び方も座面高の目安(身長×1/4)だけです。JIS S 1043:2016は本文が有料のため、規格に奥行の規定があるかどうかを一次で確認できていません。そのため、この記事では「◯cm以下がよい」という目安を書いていません。
2つめ。6機種は奥行調節があると書きながら実寸を公表していませんでした(バロン・サリダYL9・エルゴヒューマン PRO2 High・COFO Chair Lite・RESTIVA-02・E-WIN CP-BK5B)。このうちエルゴヒューマン PRO2 High、COFO Chair Lite、RESTIVA-02は調整幅の数値もありません。推測で数字を入れるより、空欄のまま出すほうが誠実だと考えて、そのまま載せています。
3つめ。オカムラ バロンは、公式ストアのページで「座面奥行調節 前後50mm」を確認しましたが、型番ごとの寸法が並んだ製品データベースのページにたどり着けず、実寸を取れませんでした。
4つめ。サンワサプライの製品ページも開きましたが、寸法欄の数字がどのラベルに対応するのかを機械的に確定できなかったため、今回の17機種には入れていません。ニトリのページは時間切れで読み込めませんでした。
5つめ。実際にお尻が収まる「有効奥行」を公表しているメーカーは、17機種のどのページにもありませんでした。背もたれや腰当ての張り出し分をどう見るかは、この記事では扱えていません。
体の寸法は、産業技術総合研究所が公開しているAIST人体寸法データベース1991-92の項目J6「座位殿・膝窩距離」の統計量を読みました。1991年7〜8月(男性)と1992年7〜8月(女性)に計測された調査で、この記事で使った青年層(18〜29歳)は女性202名・男性216名です。30年以上前の調査であること、対象が約500名であることは、読むときの前提として書いておきます。